増井真也 日記 blog

今日は埼玉県川口市にて進行中のSさんの家にて、左官の小沼充さんとの打ち合わせを行った

2026/01/15

今日は埼玉県川口市にて進行中のSさんの家にて、左官の小沼充さんとの打ち合わせを行った。この現場は築100年の古民家再生である。新しいプランには、座敷の続き間があって、8畳の部屋には炉が切られ茶室となる。壁の下地は木摺で作られており、そこに小沼さんの土壁を仕上げてもらう予定だ。茶室や和室の壁を左官にする場合には、木摺り下地に土壁を仕上げてもらう。木摺下地というのは、杉の細材を柱・間柱に9mmほどの隙間を開けて打ち付けたもので、トテモ古くから伝わる構法である。一般的な石膏ボードの下地と比べると、塗りつけられる土の厚さが厚く、めり込みも入れると30mmほどの厚みとなる。小沼さんの土壁仕上げは、はじめに下塗りとして、「消石灰・麻すさ・砂・角また糊」を混ぜた漆喰を塗る。これは、次に塗る土が、シッカリと壁に付着しやすいようにするためのものである。続いて、中塗り土として、「中塗土・藁すさ・砂」を混ぜたものを塗る。この中塗り土というのは、藁が発酵するまで寝かせて使うそうだ。なんともいえない鼻をつくようなツーンという匂いがすればするほど、十分発酵した土を使っているということだ。発酵した藁にはバチルス菌群という様々な微生物がいるから、発酵が進むとそれらが活性化してより強い土になると言われている。小沼さんの場合は、まず1回塗り付けたら、そこにいぐさを伏せ込み土を被せ、続いて尺とんぼと呼ばれる麻紐を釘に結んだ状態のものを格子状に伏せ込んでいく。最近はなかなかこういう作業をやらなくなってしまったそうだが、小沼さんはこの作業を大切にしている。その後すぐに追っかけで、もう一度中塗土を塗るところまでが一つ目の工程である。

ここまで終わったら、約1ヶ月かけてカラカラに乾燥させる。冬場の場合は、もう少しかかることもある。伝統構法の土壁というのは、こういうところで時間がかかるので、工期に制限があると使いにくいのだけれど、一生に一度の大切に家であるからこそ、これくらいの余裕は持ちたいものだ。乾燥したら、上塗りに入る。上塗りは聚楽土・稲荷山黄土・浅葱土・白土など、様々な産地の土を好みで用いる。これらの土には様々な色があって、好みに応じてブレンドして使うこともできる。ますいいリビングカンパニーのモデルハウスにある茶室には、聚楽土と沖縄の赤土を混ぜた、少し鮮やかな土壁が塗られている。僕の家の茶室には、グーッと色が沈み込んだような錆びた色合いの聚楽土を塗ってもらった。上塗りの際には「土・細かい藁・砂」を混ぜた上塗り土を2回に分けて、薄く塗りつける。その仕上げ方も、フワッとした感じの平滑な仕上げから、コテを引きずって仕上げる引きずり仕上げ、太くて長い藁を円相の形に散らしたところに薄く土を塗りつけて引きずって仕上げる投げすさ仕上げなど様々だ。投げすさ仕上げというのは、千利休が作ったとされている、京都の大山崎にある妙喜庵「待庵」の壁の仕上げである。僕の家の茶室の床間の中はこの投げスサ仕上げなのだが、時間と共に、少しずつ土が錆びてきて、対照的に藁がボンヤリ姿を現してくる様子は、見ていてとても楽しい物である。左官の壁は時間を感じることができるのだ。今回の床の間の中は、黒い仕上げとしてそこにシルバーの紅葉の模様を散らす。これは改修工事前の床の間の意匠と同じである。

写真は玄関である。この玄関を入ったところの引き分けの引き戸の袖壁には赤の大津磨きをやろうと思っている。僕の現場では、どこかしらに大津磨きを採用しているのだが、今回は玄関にした。いつもは茶室の茶道口の小口壁などに採用しているのだが、土の磨きとあってしっとりとした良い風合いがある。これは漆喰磨きとは一味違う良さがあるのだ。

今日は、川口市の依頼で、オートレース場で開催される成人式で成人諸君に対しての呈茶を行なった

2026/01/12

今日は、川口市の依頼で、オートレース場で開催される成人式で成人諸君に対しての呈茶を行なった。会場はオートレース場の小さな建物で、その中での立礼席でのおもてなし、多流派が揃う川口茶道会の運営ということで、それぞれの所属する流派に基づく思い思いの点前作法での進行であった。僕は一人目のお手前ということで、裏千家御園棚の点前にならって茶を点てた。棚の形状が少々異なることから、少しばかり道具を置く位置を調整したりの工夫が必要だったけれど、まあまあ、お若い皆様に茶道とはの入り口くらいは見ていただけたと思う。

それにしても世代の違いというのは、同じ人間とは思えないほどに、まるで宇宙人のように感じさせる力を持っている。着物の帯を結ぶ位置も千差万別、まるでアニメの中から出てきたようなお嬢様たちがいると思えば、そのまま茶会に来てもおかしくなさそうなお嬢様もいる。背の高い筋骨隆々とした青年に、「お若いの、柔道か何かやっているの」と尋ねてみるとなんと答えばボクシング、それもライトヘビー級でやっていたという。ちょっと怖いなあなどと思いながら「ではお茶の飲み方をお教えしよう。まず感謝、左手のひらに乗せて、2回回して正面を避け、・・・」と説明すると、なんとも素直に聞いてくれた。ある場面では、僕の先生が、お饅頭をパクッと食べるまるで異星人かと思われるような3人組のお嬢様達に「せっかく綺麗なお着物着てるんだから、綺麗な食べ方をしましょうね。」とお饅頭を二つに割って食べる方法を教えてあげていた。一見異星人の若者達は、意外にも楽しそうに先生に指導された食べ方を実践している。なんとなんと、まるで異星人は、実は僕たちと何も変わらない地球人だった。成人式のように沢山の若者が集まると、それをみるおじさんは圧倒されて一人一人の顔が見えなくなってしまう。5人くらいの集団には、なんとなく話しかけるのも難しい印象になる。でも、茶道という土俵の中で、相手の目を見て落ち着いて会話してみればやっぱりみんな同じであった。もしも茶道がなくって、いきなり話しかけたらああは行かなかったと思う。茶道にはそんな風に、改めて話を聞こうかなの気持ちにさせる力があるのかなと思った。

ロシア、アメリカ、中国、・・・それぞれの国が覇権争いをし始める様相の2026年、ともすると集団の利益のみに目が行きがちな世の中であるが、そこに暮らす一人一人の人間に目を向けてみれば争いは少しは無くなるかもしれない。一腕からピースフルネスを、そんなことを感じた1日であった。

今日は茶道稽古はじめ

2026/01/09

今日は茶道稽古はじめ。新年の稽古はじめ、なんとなくいつもよりも新鮮な緊張感に包まれる。僕の社中は、先生がトテモ厳しくて、社中もピリッとしている。これは悪い意味ではなく、良い意味での緊張感があるということだ。お稽古と呼ばれるようなもの、道と名のつくようなものは、だらだらの集団では一見楽なようだが、継続することは逆に厳しい。だって、点前を学ぶ問うことは、同時にその精神性を学ぶということで、先生はそれ自体を体現する見本であって、やはり厳しさと優しさと崇高さのようなものを感じさせるような緊張感のある場が大切なのだと思う。僕はといえば、今日は長女の香を連れての稽古である。両親がお茶をやっているということで、自然に興味を持ったのか、はたまたプレッシャーの中での決意なのかわからないが、経験しておくことは良いことだと思う。楽しみながら先生から学んでほしいものだ。

今日は台子の濃茶のお点前をした。最後は足が痺れてしまったが、なんとか通してやることはできた。裏千家の皆様、若輩者ではございますが、今年もよろしくお願いします。

今日は、早稲田高校の同級生6人が集まっての同窓会を開催した

2026/01/08

今日は、早稲田高校の同級生6人が集まっての同窓会を開催した。こういう会は、いつも企画してくれるまめな人がいないと出来ないものだ。僕たちの仲間では、26年前に僕の結婚式の司会をやってくれた、望月くんがいつも企画してくれる。今回は、ニューヨーク州立大学で宇宙工学の教授をしている幸田くんの帰国に合わせての企画である。幸田くんは、僕が高校2年生の時から同じクラスで、いつも一緒にSEGという新宿にある予備校に通っていた仲間だ。桜蔭高校に通っていた同じ女の子を好きになった話、そういえば僕が先にご飯に誘った話、それを当時抜け駆けされたと思っていた話・・・、ほぼどうでも良いくだらない話なのだけれど、トテモ素敵な時を過ごすことができた。

最近のアメリカは、移民にとってはトテモ居心地が悪いそうで、それは日本人も同じらしい。メールでの文章、発言、とにかく気を使うそうだ。同盟国なのだからそれほどでもないのではと思っていたが、現地で働いている肌感覚は厳しいものなのだろう。まあ、でも彼のことだからきっとうまくやるに違いない。珍しく2次会まで。12時ごろ帰宅した。

今日は、千葉県にて設計中の茶室のプランについて、担当の松原と打ち合わせを行った。

2026/01/06

先日から仕事始め。昨日はお昼から裏千家の埼玉県の新年会に参加したので、実際の仕事は今日からである。今日は、千葉県にて設計中の茶室のプランについて、担当の松原と打ち合わせを行った。この計画では、8畳と6畳の続き間と1畳台目の今日庵写の3つの茶室を配置する予定である。今日庵という茶室は、京都にある裏千家の総称にもなっているもので、宗旦の時代に作られたものだ。本物を拝観する機会はなかなかないけれど、平成の大改修が終わった時に一度だけ躙口から拝見させていただいたことがある。裏千家の中でも特に、大切にされている場所だけに、そう簡単に拝見できるようなものではないのである。

一畳台目というのは、おそらく最小の茶室であろうと思う。亭主と客の二人だけの極小空間、ここに招く客というのはおそらく当別な人なのだろう。実際に体験したことはないけれど、畳2枚の空間の中で二人である。これ以上ない濃密な人間関係が形成される部屋、それに相応しい壁や天井とは一体どんなものなのだろうか。

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申しげます。

2026/01/01

新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申しげます。

今日は滋賀県最後の日である。朝8時まずは静岡県の松崎町に向かう。この小さな町では、昨年古い蔵を購入し、石山修武先生や東大の権藤先生、早稲田の山田先生と一緒にA3ワークショップを開催させていただいた。その際にとてもお世話になった、伊豆長八美術館の設立にも深く関わった森さんにご挨拶と、置きっぱなしだった軽トラックを神奈川県の二宮で自宅の設計施工に取り組んでいる佐藤研吾君にプレゼントということで、滋賀県から埼玉県への帰り道の途中下車である。さてさて、ここまですでに5時間のドライブ、だいぶ疲れが出てきたがこのまま、二宮に向けて2時間のドライブである。4時過ぎ、佐藤くんと合流して軽トラックを受け渡す。自宅兼アトリエの現場はだいぶ進んでいるようで完成が楽しみだ。今回の滋賀県旅行には昨年1年間僕の家に交換留学生としてステイしていたスウェーデン人のユニが、2年ぶりの来日ステイの最終日ということで同行している。今日の21時過ぎの便で帰国するということで、なんと次は羽田空港へ向かった。途中ガストで休憩し、19時過ぎに到着。最後は出発ロビー、保安検査所前でのお別れの儀式、なんとも寂しい瞬間だがこうして彼の国との行き来ができる関係はとても良い。帰宅はかれこれ、11時過ぎであった。こんな元旦も初めての経験だが、楽しい1日だった。

今年も一年、何事にも前向きに、笑顔で頑張ります!

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